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この記事は「入社後の組織で、早く心理的安全性をつくるための自己開示法」について、まとめています。新しい環境で良い関係性を早く構築し、仕事に集中できる環境をつくる方法を解説します。
入社後に感じる不安と負荷
入社後の組織で、新しい人との関わりが増えると、不安や疲れがつきものです。ただでさえ新しい仕事で実績を出すための焦りが生まれやすい中、人間関係や社内の雰囲気をつかむことにも気苦労があると、大きな負荷がかかります。
入社後によくある悩み
- 誰に何を相談すればいいのか分からない
- 周囲の人が何を考えているのか読めず、不安になる
- 自分の発言が適切なのか自信が持てない
- チームになじめているのか不安に感じる
- 業務と人間関係の両方で気を遣い、疲れてしまう
このような状況では、本来の力を発揮することが難しくなります。いち早くより良い関係性を構築し、心理的安全性を自ら作ることで、仕事により集中しやすい環境をつくりあげることができます。
心理的安全性とは何か
心理的安全性とは、自分の意見や質問、懸念を安心して表明できる状態のことを指します。この状態が整っていると、以下のような効果があると言われています。
心理的安全性がある状態:
- 分からないことを素直に質問できる
- 失敗を恐れずにチャレンジできる
- 自分の考えを率直に伝えられる
- 助けを求めやすい
- 仕事に集中できる
逆に、心理的安全性がない状態では、常に周囲の目を気にし、本音を言えず、パフォーマンスが下がってしまう可能性があります。
「何を考えているかわからない」が不安を生む
人間は「何を考えているかわからない」ことに、とても不安を感じると言われています。
相手がどんな場面でどんな判断をしたり意見を持つのか、何に喜んで何に悲しむのか、こういった相手の価値観や感情の予測ができる割合が増えると、「もしかしたら嫌な思いをしていないかな」などの不安や疑念が少なくなり、安心して自分の伝えたいことを伝えやすくなります。
予測可能性が安心感を生む
相手のことが分かると:
- この人はこういう時にこう反応するだろう、と予測できる
- 自分の発言がどう受け止められるか想像できる
- 安心してコミュニケーションが取れる
相手のことが分からないと:
- どう反応されるか予測できず、不安になる
- 発言を控えてしまう
- 距離を取ってしまう
心理的安全性を早く作るためには、相手のことを知ると同時に、自分のことも知ってもらうことが重要です。
具体的な自己開示の方法
ここからは、入社後に心理的安全性を早く作るための具体的な方法を紹介します。
1. 相手の名前と役割を覚える
まずはチームの場などで挨拶をしたり、自己紹介を短い時間で受けることがあると思いますが、なるべくその内容をメモを取ったり共通項を探すなど、しっかり相手の情報を受け取ります。
名前を覚えることの重要性
名前を覚えて呼ぶことで:
- 相手に対する関心を示すことができる
- 距離が縮まる
- 会話のきっかけが作りやすくなる
メモを取るべき情報:
- 名前(漢字の読み方も確認)
- 役割や担当業務
- 出身地や趣味などの個人情報
- 共通点(同じ出身地、同じ趣味など)
特に、入社初日のオリエンテーションや全体会議での自己紹介は、メモを取る絶好の機会です。後から見返すことで、誰に何を相談すればいいかが分かりやすくなります。
2. 1対1の会話を大事にする
入社後や部署異動後など、部署全体での自己紹介や会話の機会があっても、職種が違うなど意外とそのまま会話をしない関係性の人も生まれることがあります。
5〜10分でも短い時間でも、1対1の時間を設けて簡単な会話をするだけでも非常に効果があります。
1対1で話すべき内容
仕事に直接関係のない内容でも効果的:
- 相手の下の名前や漢字を聞く
- 出身地や趣味などを聞く
- どのくらいこの会社で働いているか
- この会社を選んだ理由
これらの一見仕事には直接関係のない内容でも、自分が相手に興味があるという姿勢を伝えることができ、相手の反応を見ることで人物の雰囲気をつかむことができます。
1対1の時間を作る方法
- ランチや休憩時間を活用する
- 業務の合間に少し話しかけてみる
- 上司やメンターとの1on1ミーティングを活用する
- 業務の質問のついでに少し雑談する
特に、直接一緒に働くメンバーとは、早めに1対1で話す機会を持つことが推奨されます。
3. 出社の機会など、オフラインの場を活用する
現在、リモートワークや、週の数日はリモートなど、会社に毎日出社するという業務形態ではない働き方が増えてきました。
そのなかでも特に最初の数週間は、なるべく時間を設けて出社やオフラインの場を活用し、画面越しやチャットツール上だけでの会話ではなく、同僚とオフラインの場で顔を合わせて会話をすることが、非常に心理的安全性に有効です。
オフラインの場の効果
非言語コミュニケーション:
- 表情
- 身振り手振り
- 体の動き
- 声のトーン
- 雰囲気
これらは、テキストや画面上だけでは伝わらない相手の情報を非常に多く受け取ることができます。
相手の情報を多く受け取るだけではなく、自分の情報を多く伝えることで相互の理解度が高まり、不安や不信を取り除きやすくなります。
オフラインを活用するタイミング
- 入社初日から最初の2週間
- チームミーティングがある日
- 歓迎会や懇親会
- オフィス見学
- ランチミーティング
リモートワーク中心の会社でも、最初の期間は積極的に出社することで、その後のリモートワークがスムーズになると言われています。
4. 日報、timeline、メールなど会社のルーティーン業務を活用する
ミーティングの場や全体の場で時間を割ってもらって長く話す機会を持つことは難しいことが多く、同僚の時間も奪ってしまうことになります。
許された場で適切に自分の考えを述べつつ、報告のルーティーン業務の中で、丁寧に自分の感じたことや気づいたこと、なぜその考えに至ったのかを過去の経験と紐づけて説明するなどを行います。
日報やtimelineの活用例
業務報告に加えて:
- 今日気づいたこと
- なぜその判断をしたのか
- 過去の経験とどう関連しているか
- どんなことに興味を持ったか
例:
【本日の業務】
・顧客A社への提案資料作成
【気づき】
前職で製造業の顧客対応をしていた経験から、
この業界特有の意思決定プロセスが見えてきました。
具体的には...
このように、自己の感じ方・考え方を開示することで、相手から「どんな考えや経験を持っている人なのか」を理解してもらえ、会話や相談の機会が増えやすくなります。
5. 自分も「何を考えているかわからない」と思われていることを理解する
新しい人と出会ったとき、相手の考えていることは分からないことが多いですが、同じように自分もそう思われていると理解しておくと良いでしょう。
前提情報の共有が重要
当たり前だと思って発言していた内容も、新しい環境ではその前提情報や価値観が伝わっておらず、誤解を生むこともあります。
誤解を防ぐ方法:
- 自分の発言の理由付けを説明する
- もとになっている経験や価値観を説明する
- 「以前の職場では〜」と文脈を共有する
例:
❌「この進め方は効率が悪いと思います」
⭕「前職のプロジェクトで、この進め方だと後工程で手戻りが多く発生した経験があります。そのため、最初の段階で〜した方が効率的だと考えますが、いかがでしょうか?」
なるべく自分の発言の理由付けや、もとになっている経験や価値観を説明していくことで、相手にとって「わかりやすい・想像しやすい」存在となり、会話や相談の機会が増えやすくなります。
6. ツールやシステムの顔写真・自己紹介文を早めに登録する
現代のチャットツールや業務ツールの環境では、オンラインでの会話をする人も多く、すぐに交流できる人ばかりではありません。
そういった方に、自分の雰囲気や表情などが伝わりやすい写真を活用しておくことで、心理的な距離を早めに縮めることができます。
登録すべき情報
プロフィール写真:
- 笑顔で明るい表情の写真
- 顔がはっきり見える写真
- 清潔感のある写真
自己紹介文:
- 簡単な経歴
- 趣味や興味
- 好きな食べ物や休日の過ごし方
- 得意なこと、苦手なこと
これらの情報を早めに登録しておくことで、直接話したことがない人とも、チャットでのコミュニケーションが取りやすくなります。
7. 挨拶、笑顔など心地よいコミュニケーションを心がける
今後一緒に働いていく気持ちの良い関係をつくるために、自分に無理のない範囲で、簡単な挨拶の声掛けや穏やかな表情をつくっておくことで、多くの人との関係性づくりが早くなり、相談や支援の機会が生まれやすくなります。
心地よいコミュニケーションの基本
挨拶:
- 朝の「おはようございます」
- 帰りの「お疲れ様でした」
- すれ違ったときの会釈
笑顔:
- 話しかけられたときは笑顔で対応
- 感謝を伝えるときは表情も添える
感謝の言葉:
- 「ありがとうございます」を忘れずに
- 小さなことでも感謝を伝える
これらは基本的なことですが、新しい環境では意識的に行うことが重要です。緊張していると、表情が硬くなったり、挨拶を忘れてしまったりすることがあります。
無理のない範囲で
ただし、自分に無理のない範囲で、ということが大切です。無理に明るく振る舞ったり、本来の自分と違う人格を演じたりすると、長続きしません。自然体で、できる範囲での心地よいコミュニケーションを心がけることが推奨されます。
自己開示のバランス
自己開示は重要ですが、やりすぎには注意が必要です。
適切な自己開示
- 仕事に関連する経験や考え方を共有する
- 趣味や興味など、人柄が伝わる情報を共有する
- 価値観や大切にしていることを伝える
避けるべき自己開示
- プライベートすぎる情報
- ネガティブすぎる話(前職の愚痴など)
- 政治や宗教など、対立を生みやすい話題
自己開示の目的は、相手に安心感を与え、良い関係性を築くことです。相手が不快に感じたり、距離を置きたくなったりするような内容は避けることが推奨されます。
心理的安全性は相互に作るもの
心理的安全性は、自分だけで作るものではなく、チーム全体で作り上げるものです。
自分ができること
- 積極的に自己開示する
- 相手に興味を持つ
- 質問を歓迎する姿勢を示す
- 失敗を隠さず、学びとして共有する
組織全体で醸成されるもの
ただし、個人の努力だけでは限界があります。組織のカルチャーとして、心理的安全性を大切にしているかどうかも重要な要素です。
もし、自分が努力しても心理的安全性が感じられない場合は、その組織のカルチャーに問題がある可能性もあります。その場合は、上司や人事に相談することも検討してください。
早めの関係構築が長期的な成功につながる
入社後の最初の数週間から数ヶ月は、今後のキャリアを左右する重要な期間です。この期間に良い関係性を構築できれば、その後の仕事がスムーズに進み、困ったときに助けを求めやすくなります。
早めの関係構築の効果
- 業務の質問がしやすくなる
- 協力を得やすくなる
- 情報が集まりやすくなる
- 仕事に集中できる
- 早期に成果を出しやすくなる
自己開示を通じて心理的安全性を自ら作り上げることで、新しい環境でもいきいきと働き、中長期的な成功につなげることができます。
タレントグローススタジオを運営する、つなぐスタジオ株式会社では「ビジネス知の機会格差をなくす」というミッションに向けて、これからも実践的で価値ある情報を発信していきます。この記事の内容や、その他キャリア・転職に関して気になる点がありましたら、お気軽にご連絡ください。

執筆者 : 佐久間 一己(さくま かずき)
つなぐスタジオ株式会社 代表取締役社長 / ローカル&タレントグローススタジオ Director
リクルート営業マネージャー、ユーザベースFORCAS(現Speeda)カスタマーサクセスマネージャー、スタートアップ役員、地方起業を経て、地方企業向けのマーケティング代理店と採用・キャリア支援事業を設立。人材紹介免許を取得。自身が地方からスタートアップへの転職を経験し、職種の理解や業界の知識を学んだ経験から、双方の立場がわかる存在としてキャリアの支援を行います。また、事業責任者・執行役員の立場で組織運営を行い、ブランドが乏しい中での採用活動の経験をもとに、地方企業・スタートアップ企業の採用支援に伴走します。


