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この記事は企業の採用担当者向けに、「地方企業が、UターンIターン都市部人材を受け入れるために取り組むこと」について、まとめています。
地方企業にとってのUターン・Iターン人材採用
地方企業にとって、都市部で経験を積んだ人材を採用することは、企業成長の大きな要素となります。都市部では、より専門性の高い業務経験や、最新のビジネス手法に触れる機会があり、そうした経験を持つ人材が地方企業に加わることで、組織全体の業績改善につながる可能性があります。
一方で、都市部人材を受け入れる際には、いくつかの準備が必要です。給与水準の違い、業務の進め方の違い、生活環境の変化など、様々な要素について、企業側が受け入れ態勢を整えることが重要です。
この記事では、UターンIターン人材の受け入れを、募集前、選考中、入社後の3つの段階に分けて解説します。
募集前の準備:自社の魅力を言語化する
都市部人材を採用するための第一歩は、自社の魅力や仕組みをできる限り言語化することです。地方企業にとって当たり前になっていることが、都市部の求職者には伝わらないケースが多くあります。
他社の求人から学ぶ
自社の魅力を言語化する方法として、Wantedlyなどで都市部の同じ職種の求人票を探し、他社がどんなことを書いているかを学ぶことが有効です。
Wantedlyは「共感採用」というテーマで、会社のビジョン・ミッション、事業内容、雰囲気やカルチャーを多く説明して採用を目指す媒体です。採用条件や報酬で興味を引くというよりは、会社自体を好きになってもらうということを意識した媒体であるため、地方企業でも、アピールの仕方や自社の言語化できていない部分を見つけられることが多くあります。
具体的に言語化すべきポイント
- 企業のビジョンやミッション:何を目指している企業なのか
- 事業の独自性:他社とどう違うのか、何が強みなのか
- 働く環境:どんな雰囲気で、どんな人たちが働いているのか
- 地域での役割:地域にどんな価値を提供しているのか
- 成長機会:どんなスキルが身につき、どんなキャリアが描けるのか
これらを具体的に言語化し、求人票や採用サイトに反映することで、都市部の求職者にも自社の魅力が伝わりやすくなります。
募集前の準備:給与テーブルと昇進の仕組みを整備する
都市部人材を受け入れる際、給与や昇進の仕組みを整備しておくことが重要です。単純に高い報酬を出せば専門人材や都市部人材を採用できるというものではありません。
不公平感のない組織づくり
採用した人材に長く貢献してもらい、会社全体で業績を上げていくためには、今いる人材が不公平感を持ったり、採用した人材のモチベーションが低下してしまってはいけません。
転職直後は年収帯が下がっても、地域や企業の魅力を感じてUターンIターン転職にチャレンジしてくれる人材はいます。そうした人材には、不公平感のない給与テーブルの説明と、1年2年かけてどのような成果を期待し、社内の信頼や実績が積めればどんな昇格や昇給があるのかという未来の計画を伝えることが重要です。
整備すべき仕組み
- 給与テーブル:職種や役職ごとの給与レンジを明確にする
- 評価基準:何を評価するのか、どう評価するのかを明確にする
- 昇進昇格の仕組み:どのような実績を積めば昇格できるのかを明確にする
- 昇給の時間軸:入社後、どのくらいの期間でどの程度の昇給が見込めるのかを示す
これらの仕組みを整備しておくことで、候補者に対して具体的なキャリアパスを示すことができます。また、既存の従業員に対しても、新しく入社する人材の処遇について説明がしやすくなります。
選考中:経験を相互に理解してすり合わせる
選考中では、候補者の実績や強みを自社に当てはめて考えることが重要です。特に都市部や専門人材は、人数の多い組織の中で経験を積んでいることが多く、経験している業務や専門性を持っている業務が尖っていることが多くあります。
営業職の例:分業化の理解
一つの例として、営業という職種では、地方企業などでは新規開拓から既存顧客対応まで行っている状況に対し、都市部やスタートアップでは分業化が進んでいることがあります。
都市部での営業職の分業例:
- フィールドセールス:新規開拓に特化した営業
- インサイドセールス:電話やオンラインでの商談に特化した営業
- カスタマーサクセス:既存顧客対応に特化した職種
地方企業で「営業経験者」を募集する際、都市部の候補者が「フィールドセールス経験3年」と書いていた場合、その経験は新規開拓に特化したものである可能性があります。既存顧客対応の経験が少ない場合もあるため、自社で期待する業務内容とすり合わせる必要があります。
これらの経験の文脈を相互に理解してすり合わせることによって、入社後に活躍する人材を正しく判断することができます。
選考中:面接を相互理解の場にする
面接は、企業が候補者を評価するだけの場ではなく、相互理解の場であるということを伝えることが重要です。懸念点を互いにぶつけ合い、入社後のミスマッチを防ぐための時間として活用します。
具体的なシチュエーションで解像度を高める
面接では、以下のような質問を通じて、入社後に起きることの解像度を高めます。
- 「こんなギャップがあるかもしれないが、どう対応するか?」
- 「現状はこのような課題に向けて対応を行っているが、その場に入ったら何から取りかかり改善していくか?」
なるべく具体的なシチュエーションを説明し、候補者がどう考えるのか、どう行動するのかを確認します。候補者にとっても、入社後の自分の役割や期待されることをイメージしやすくなります。
社員交流の場を設ける
面接とは別に、社員交流の場という選考とは別の時間を設けることも有効です。カジュアルな雰囲気の中で、実際に一緒に働くメンバーと話をすることで、候補者は職場の雰囲気をより具体的に感じることができます。企業側も、候補者の人柄や相性をより深く理解することができます。
選考中:生活環境の不安を取り除く
UターンIターン転職では、仕事だけでなく、生活環境の変化に対する不安も大きな要素です。選考中に、生活環境など新しい土地への不安があるポイントを確認し、インターネットだけでは探しづらい細かい情報を提供してあげることが重要です。
提供すると良い情報の例
- 住まい:家賃相場、おすすめのエリア、不動産会社の紹介
- 交通:通勤手段、車の必要性、公共交通機関の状況
- 生活:スーパーや病院の場所、子育て環境、地域のイベント
- 支援制度:自治体の移住支援制度、住宅補助、子育て支援
これらの情報を丁寧に提供することで、候補者の不安を取り除き、入社への心理的ハードルを下げることができます。
入社後:相互理解を深める
入社後の期間では、いかにスムーズに会社の一員として活躍するための土台を作っていくかが重要です。その第一歩が相互理解です。
転職者だけではなく、受け入れ側の従業員含めて、自己開示の時間や場設定を細かく行います。相手がどんなことを考える人なのか、何に喜び何に悲しむ人なのかということを想像しやすい状態にすることによって、互いに安心感を持って業務ができる状態を作ります。
自己開示の場の例
- 歓迎会や懇親会での自己紹介
- 1on1ミーティングでの経歴や価値観の共有
- チームミーティングでのアイスブレイク
- 社内報やSlackでの自己紹介投稿
特に、転職者には「なぜこの会社を選んだのか」「どんなことを実現したいのか」といった想いを共有してもらうことで、既存の従業員も転職者のことを理解しやすくなります。
入社後:改善案を適切に吸い上げる
新しい環境、特に都市部から地方企業に環境を変えた人材は、少なからず業務に対するギャップや改善アイディアが思いつくようになります。高単価なシステムの利用経験があったり、細かいルールが浸透しているなど、会社による文化が大小異なることが多いためです。
改善アイディアの扱い方の難しさ
転職者の考えだけが正しいというわけではなく、システム投資に対する費用対効果や、今まで積み上がってきた商習慣で簡単に変えられないものもあります。
転職者が改善アイディアを同僚にいきなり話し出すと、以下のような問題が起きる可能性があります。
既存従業員側:
- やり方を否定されていると感じる
- 面倒が増えそうだと感じる
- 新しい人材に対して悪いイメージを持つ
転職者側:
- 会社を良くするためのアイディアなのに変化がない
- 無力感や失望感を持つ
- 発言することを諦めてしまう
定期面談による改善アイディアの吸い上げ
この問題を解決する有効な方法が、定期面談を設定することです。
定期面談のタイミング例:
- 入社1週間後
- 入社3週間後
- 入社3ヶ月後
転職者には、思いついた改善アイディアをすぐに共有するのではなく、メモなどに溜めていってもらいます。定期面談の中で、思いついている改善アイディアが実現できそうか、難しいならばその理由を上司と共にすり合わせます。
定期面談のメリット
転職者にとって:
- アイディアをぶつける場がある
- 会社状況の背景が理解できる
- 自分の意見が聞いてもらえているという安心感がある
組織にとって:
- 上司が必要なものを取捨選択できる
- 混乱リスクを低下させることができる
- 有益なアイディアを適切なタイミングで実行できる
この仕組みにより、転職者の知見を活かしつつ、既存の組織との摩擦を最小限に抑えることができます。
受け入れ態勢の整備が企業成長につながる
UターンIターン専門人材は、企業成長の大きな要素となります。都市部で培った経験や知見を、地方企業の業績改善に活かしてもらうためには、受け入れ態勢の整備やフォロー体制の構築が不可欠です。
受け入れ態勢整備のチェックリスト
募集前:
- 自社の魅力を言語化できているか
- 給与テーブルや昇進の仕組みが整備されているか
- 既存従業員に対して、新規採用の背景を説明できているか
選考中:
- 候補者の経験を自社に当てはめて理解できているか
- 面接を相互理解の場として活用できているか
- 生活環境の情報を提供できているか
入社後:
- 自己開示の場を設定できているか
- 定期面談の仕組みがあるか
- 改善アイディアを適切に吸い上げる仕組みがあるか
これらの準備を段階的に進めることで、UターンIターン人材が活躍しやすい環境を作ることができます。地方企業にとって、都市部人材の採用は大きなチャレンジですが、適切な受け入れ態勢を整えることで、企業成長の大きな原動力となる可能性があります。
タレントグローススタジオを運営する、つなぐスタジオ株式会社では「ビジネス知の機会格差をなくす」というミッションに向けて、これからも実践的で価値ある情報を発信していきます。この記事の内容や、その他採用・人材に関して気になる点がありましたら、お気軽にご相談ください。

執筆者 : 佐久間 一己(さくま かずき)
つなぐスタジオ株式会社 代表取締役社長 / ローカル&タレントグローススタジオ Director
リクルート営業マネージャー、ユーザベースFORCAS(現Speeda)カスタマーサクセスマネージャー、スタートアップ役員、地方起業を経て、地方企業向けのマーケティング代理店と採用・キャリア支援事業を設立。人材紹介免許を取得。自身が地方からスタートアップへの転職を経験し、職種の理解や業界の知識を学んだ経験から、双方の立場がわかる存在としてキャリアの支援を行います。また、事業責任者・執行役員の立場で組織運営を行い、ブランドが乏しい中での採用活動の経験をもとに、地方企業・スタートアップ企業の採用支援に伴走します。


