タレントグローススタジオは「キャリアを、翻訳する。」というテーマで、想いが伝わるキャリア支援の人材サービスを行っています。スタートアップ企業や地方企業の想いが伝わる採用活動を支援いたします。採用企業向けに「事業戦略から相談できる人材エージェント」を目指して、事業計画の高い理解度から必要なポジションの提案・人材の提案を行っています。
採用企業向けコラムでは、経営者・採用人事・事業責任者向けに、人材採用活動に向けた情報を無料で発信し、企業の事業成長とそれにつながる採用の成功を支援いたします。
この記事は企業の採用担当者向けに、「カルチャーデックの作成・公開」について、まとめています。カルチャーデックは、応募を検討している人材が会社を理解するための重要な資料であり、採用活動の効果を大きく高めることができます。
カルチャーデックとは何か
カルチャーデックとは、応募を検討してくれている人材向けの会社説明資料です。
通常の会社説明資料と異なるのは、事業内容だけでなく、働き方や文化、組織の価値観などにも言及している点です。応募者は、カルチャーデックを見ることで、事業説明以外の部分、つまり「この会社で働くとはどういうことか」を理解することができます。
多くのスタートアップや大企業が、採用特設サイトや採用ページにカルチャーデックを作成・公開しています。カルチャーデックがあることで、候補者が自分で情報を得られるため応募率が高まり、カジュアル面談や面接でより深い話ができるようになります。また、入社前に会社への理解が深まることで、入社後のミスマッチを減らすことができます。
カルチャーデックの形式は様々ですが、一般的にはスライド形式(PowerPointやGoogle Slides)で作成され、20〜50ページ程度にまとめられることが多いです。これをPDFで公開したり、採用サイトに埋め込んだりして、応募者が自由に閲覧できるようにします。
カルチャーデックの4つの構成要素
カルチャーデックは、大きく4つのパートで構成されます。
1. ビジョン・ミッション
会社が目指す方向性や存在意義を示すパートです。
なぜ必要か
候補者は、単に給与や待遇だけで会社を選ぶわけではありません。「この会社のビジョンに共感できるか」「自分がこの会社で働く意味を感じられるか」という観点も重視します。
ビジョンやミッションが明確に示されていることで、候補者は「この会社で働くことが、自分のキャリアにどんな意味を持つのか」を理解できます。
地方企業における課題
スタートアップや上場企業は、投資家向けに事業を説明する機会が多いため、ビジョンやミッションを整理して伝えることが習慣づけられています。そのため、採用資料にもそのまま引用できます。
一方、地方企業では、融資機関とも長い付き合いになることが多く、新しい投資先や融資先に事業を説明する機会が相対的に少ないです。そのため、ビジョンやミッションを言語化する機会が少なく、採用資料に盛り込むのが難しいと感じるかもしれません。
どう作成するか
多くの会社のカルチャーデックを見ながら、自社のビジョン・ミッションを作成してみることをおすすめします。
ビジョン・ミッションを作成する際のポイント:
- 自社が社会に提供したい価値は何か
- 5年後、10年後にどんな会社になっていたいか
- 社員に、どんな想いで働いてほしいか
この作業は、採用のためだけでなく、自社の事業の自己理解にもつながります。経営者や幹部が、改めて「自分たちは何を目指しているのか」を言語化する良い機会になります。
2. 事業説明
会社がどんな事業を行っているのかを説明するパートです。
なぜ必要か
候補者は、会社の事業内容を理解しなければ、「自分がどんな仕事をするのか」「自分のスキルが活かせるのか」を判断できません。
特に、地方企業やBtoB企業の場合、事業内容が一般に知られていないことが多いため、丁寧に説明する必要があります。
どう作成するか
事業説明を作成する際のポイント:
- どんな顧客に、どんなサービス・商品を提供しているのか
- 自社の強みや独自性は何か
- 市場における位置づけ(シェア、実績など)
- 今後の事業展開の方向性
可能であれば、図解やイラストを使って、視覚的にわかりやすく説明することが効果的です。
地方企業における工夫
地方企業の場合、「地域に密着している」ことが強みになります。地域での実績、地域企業との取引関係、地域への貢献などを盛り込むことで、地方で働くことの意義を伝えることができます。
3. カルチャーや組織について
会社の文化、価値観、働く環境について説明するパートです。このパートが、カルチャーデックの最も重要な部分です。
なぜ必要か
候補者は、「この会社で働くとはどういうことか」を知りたがっています。給与や待遇だけでなく、「どんな人たちと働くのか」「どんな価値観を大切にしているのか」「働き方の自由度はどうか」といった情報が、入社の決め手になります。
含めるべき内容
カルチャーや組織について、以下のような内容を盛り込みます。
代表からのメッセージ 経営者が、どんな想いで会社を経営しているのか、どんな人と一緒に働きたいのかを語ります。これは、会社の人格を伝える重要なパートです。
バリュー(行動指針) 会社が大切にしている価値観や、社員に期待する行動を明文化します。
例:
- 顧客第一:常に顧客の成功を最優先に考える
- 挑戦を称賛:新しいことに挑戦する姿勢を評価する
- オープンなコミュニケーション:役職に関わらず意見を言い合える文化
福利厚生・働き方 具体的な福利厚生や、働き方の制度を説明します。
例:
- リモートワークの可否、頻度
- フレックスタイム制度
- 育児・介護との両立支援
- 資格取得支援、研修制度
- 社員旅行、懇親会の頻度
メンバーのバックグラウンド 一緒に働く同僚がどんな人たちなのかを紹介します。
例:
- 社員の年齢構成、男女比
- 前職の業界や職種
- 出身地(地元出身者と移住者の割合)
- 趣味や興味(多様性を示す)
このパートを充実させることで、候補者は「自分がこの会社に合うかどうか」を判断しやすくなります。
4. 採用について
選考プロセスや求めている人材像など、応募の際に確認したい内容を整理します。
なぜ必要か
候補者は、「どうすれば応募できるのか」「選考はどのように進むのか」「どんな人を求めているのか」を知りたがっています。この情報が明確でないと、応募のハードルが高くなり、せっかく興味を持った候補者が離脱してしまいます。
含めるべき内容
求めている人材像 どんなスキルや経験、価値観を持った人を求めているのかを明確にします。
例:
- 必須スキル:〇〇の経験3年以上
- 歓迎スキル:〇〇の資格保有者
- 求める人物像:主体的に行動できる人、チームワークを大切にできる人
選考プロセス 応募から内定までの流れを明示します。
例:
- 書類選考(1週間以内に結果通知)
- カジュアル面談(30分、オンライン可)
- 一次面接(現場マネージャー、1時間)
- 二次面接(代表、1時間)
- 内定
募集職種と待遇 現在募集している職種と、おおよその給与レンジを示します。
給与を明示することに抵抗がある場合でも、「経験・スキルに応じて相談」という形で柔軟性を示すことが重要です。完全に非公開にすると、候補者が応募を躊躇する原因になります。
問い合わせ先 応募方法や、質問がある場合の連絡先を明記します。
例:
- 応募フォームのURL
- 採用担当者のメールアドレス
- カジュアル面談の申し込みリンク(CalendlyやSpirなど)
副次的なメリット:社内の認識統一と面談の質向上
カルチャーデックを作成することで、候補者向けの情報提供だけでなく、以下のような副次的なメリットも得られます。
社内の認識統一
カルチャーデックを作成する過程で、経営者や幹部が「自社のビジョン」「大切にしている価値観」「目指す方向性」を議論し、言語化します。
この作業を通じて、社内の認識が統一され、全員が同じ方向を向いて働けるようになります。また、カルチャーデックを社員に共有することで、「自分たちが何を大切にしている会社なのか」を再認識する機会にもなります。
カジュアル面談・一次面接の質向上
一次面接から代表がすべて出られるケースは少なく、現場のマネージャーや担当者がカジュアル面談や一次面接を対応することが多いです。
カルチャーデックがあれば、会社説明をする際に質の濃い統一した資料で説明をすることができます。カルチャーデックを事前に候補者に送り、「目を通しておいてください」と伝えることで、カジュアル面談や面接では基本的な会社説明は資料に任せ、候補者の経験やキャリアの話に時間を使えます。
また、「カルチャーデックを見て、どう思いましたか?」という質問から候補者の価値観を探ることもできますし、候補者が事前に会社を理解しているため、より具体的な質問をしてくれるようになります。
このように、カルチャーデックがあることで、限られた面談時間を有効に使い、候補者に対する魅力づけ(アトラクト)をメンバー単位でも行うことができます。
定期的な更新の重要性
カルチャーデックは、一度作って終わりではありません。四半期から半期程度で更新をする習慣づけをしておくことをおすすめします。
会社は常に変化しています。事業が成長し、新しいメンバーが加わり、組織の文化も変わっていきます。定期的に更新することで、候補者に最新の情報を提供でき、「この会社は変化し続けている」という印象を与えることができます。
更新のタイミング例:
- 新しいメンバーが入社したとき
- 組織体制が変わったとき
- 新しい事業やサービスが始まったとき
- 福利厚生や制度が変わったとき
すべてのページを毎回更新する必要はありません。変更があった部分を中心に更新し、更新のたびに「最終更新日」を明記することで、候補者に「最新の情報である」ことを伝えられます。
採用にもマーケティングの考え方を応用できる
採用活動は、マーケティング活動と非常に似ています。マーケティングの考え方を採用に応用することで、効率的に優秀な人材を獲得できます。
受け皿の整備が最優先
マーケティングでは、広告などの「流入施策」の前に、「受け皿の整備」が最優先であることが知られています。採用も同じです。
多くの企業が、求人を出したり、エージェントに依頼したり、広告を出したりといった「流入施策」に力を入れます。しかし、せっかく自社に興味を持った候補者が訪れても、十分な情報がなければ応募に至りません。
受け皿が整っていない採用活動の問題
受け皿が整っていない状態で採用活動を行うと、以下のような問題が発生します。
- 候補者が会社の情報を十分に得られず、応募を躊躇する
- カジュアル面談や一次面接で、基本的な会社説明に時間を取られる
- 候補者が入社後に「こんなはずじゃなかった」とギャップを感じる
- エージェント費用や広告費をかけても、応募や内定承諾につながらない
受け皿が整っている採用活動のメリット
逆に、カルチャーデックという受け皿を整えることで、以下のメリットがあります。
- 候補者が自分で情報を得られるため、応募率が高まる
- カジュアル面談や面接で、より深い話ができる
- 入社前に会社への理解が深まり、入社後のミスマッチが減る
- 採用コストあたりの成果(応募数、内定承諾数)が向上する
ローカルグローススタジオの記事「新サービス開始時のステップをおさらい:受け皿整備→ストック的流入施策→フロー的流入施策」では、マーケティングにおいて「受け皿の整備」が最優先であることを解説しています。採用活動も同じで、流入施策の前に、まず受け皿を整える必要があります。
コストのかからないチャネルの開発(オーガニック)
マーケティングでは、広告費をかけずに顧客を獲得する「オーガニック流入」を増やすことが重要です。採用も同様で、エージェント費用や広告費をかけずに応募者を増やす仕組みを作ることができます。
具体的な方法
- 自社サイトやSNSでの発信:カルチャーデックを自社サイトに公開し、SNSで定期的に発信することで、直接応募を増やす
- 社員紹介制度:既存社員から候補者を紹介してもらう仕組みを作る
- note、Wantedly、LinkedInなどのプラットフォーム活用:無料または低コストで情報発信し、興味を持った候補者からの応募を促す
カルチャーデックという「受け皿」を整備することで、こうしたオーガニックチャネルからの応募が増え、エージェントコストや広告コストを下げることができます。
コンバージョン率を上げる
マーケティングでは、サイトを訪れた人のうち、どれだけが問い合わせや購入に至るかを示す「コンバージョン率」が重要です。採用も同様で、以下のようなコンバージョン率を意識します。
- サイト訪問者のうち、応募に至る割合
- カジュアル面談を受けた人のうち、選考に進む割合
- 一次面接を受けた人のうち、内定承諾に至る割合
カルチャーデックを充実させることで、これらのコンバージョン率を高めることができます。
コンバージョン率向上の仕組み
- カルチャーデックを見て、会社への理解が深まった候補者は、応募率が高まる
- カジュアル面談で、カルチャーデックを元に深い話ができた候補者は、選考に進む意欲が高まる
- 入社前に会社のことを十分に理解した候補者は、内定承諾率が高まる
このように、受け皿を整備することで、同じ人数の候補者に接触しても、最終的な採用人数を増やすことができます。
採用活動においても、流入量を増やす施策だけではなく、受け皿の整備の準備を怠らないようにしましょう。
カルチャーデックの参考事例
カルチャーデックを作成する際は、他社の事例を参考にすることが有効です。
多くのスタートアップや大企業が、カルチャーデックを公開しています。「会社名 カルチャーデック」で検索すると、様々な事例を見つけることができます。
参考にすべきポイント
- どのような構成になっているか
- どのような表現で、ビジョンや価値観を伝えているか
- 写真やイラスト、図解をどのように使っているか
- メンバー紹介をどのように行っているか
他社の事例を参考にしながら、自社らしさを盛り込んだカルチャーデックを作成しましょう。
タレントグローススタジオのサポート
タレントグローススタジオでは、「キャリアを、翻訳する。」というテーマで人材サービスを行っています。
その中で、企業向けには、採用戦略の立案や、カルチャーデックの作成支援も行っています。
支援内容の例
- ビジョン・ミッションの言語化サポート
- 事業の強みや独自性の整理
- カルチャーや価値観の言語化
- カルチャーデックの構成・デザインの提案
- 求人票の作成や、採用プロセスの設計
特に、地方企業からスタートアップへ、スタートアップから地方企業へといった、異なるビジネス文化をまたぐ採用においては、「相手に伝わる言葉」で自社の魅力を表現することが重要になります。
これらの言語化の支援を通じて、効果的な採用活動をサポートしますので、お気軽にご相談ください。
タレントグローススタジオを運営する、つなぐスタジオ株式会社では「ビジネス知の機会格差をなくす」というミッションに向けて、これからも実践的で価値ある情報を発信していきます。この記事の内容や、その他採用・人材に関して気になる点がありましたら、お気軽にご相談ください。

執筆者 : 佐久間 一己(さくま かずき)
つなぐスタジオ株式会社 代表取締役社長 / ローカル&タレントグローススタジオ Director
リクルート営業マネージャー、ユーザベースFORCAS(現Speeda)カスタマーサクセスマネージャー、スタートアップ役員、地方起業を経て、地方企業向けのマーケティング代理店と採用・キャリア支援事業を設立。人材紹介免許を取得。自身が地方からスタートアップへの転職を経験し、職種の理解や業界の知識を学んだ経験から、双方の立場がわかる存在としてキャリアの支援を行います。また、事業責任者・執行役員の立場で組織運営を行い、ブランドが乏しい中での採用活動の経験をもとに、地方企業・スタートアップ企業の採用支援に伴走します。



