タレントグローススタジオは「キャリアを、翻訳する。」というテーマで、想いが伝わるキャリア支援の人材サービスを行っています。スタートアップ企業や地方企業の想いが伝わる採用活動を支援いたします。採用企業向けに「事業戦略から相談できる人材エージェント」を目指して、事業計画の高い理解度から必要なポジションの提案・人材の提案を行っています。
採用企業向けコラムでは、経営者・採用人事・事業責任者向けに、人材採用活動に向けた情報を無料で発信し、企業の事業成長とそれにつながる採用の成功を支援いたします。
この記事は企業の採用担当者向けに、「内定後の承諾率を上げるオファーレターの活用法」について、まとめています。
採用市場で起きている構造的な変化
深刻化する人手不足
日本の労働市場は、人口減少という構造的な課題に直面しています。特に若年層の労働人口減少が顕著で、採用の求人倍率は1を超える状態が続いています。企業が求める人材の数に対して、求職者の数が足りていない状況です。
現在の採用市場の特徴
- 求人倍率が1以上で推移(求職者より求人数が多い)
- 2012〜2013年頃から人手不足が継続
- 特に地方都市では深刻な状況
- 今後さらに加速すると予測される
この状況は一時的なものではなく、今後さらに加速すると予測されています。少子高齢化が進む中で、企業が採用できる人材の絶対数は減り続けており、採用競争はますます激化していくと考えられています。
「企業が人を選ぶ」から「人が企業を選ぶ」へ
こうした環境の変化により、採用市場のパワーバランスも変化しています。かつては「企業が人を選ぶ時代」でしたが、現在は「人が企業を選ぶ時代」に転換していると言われています。
採用市場の変化
- 以前: 企業が応募者の中から選別
- 現在: 求職者が複数のオファーから選択
- 結果: 企業側が「選ばれる側」に立たされている
求職者、特に優秀な人材は、複数の企業から選ばれる立場にあります。企業側は、自社を選んでもらうために、給与や待遇だけでなく、ビジョンや働く環境、成長機会など、様々な観点で魅力を伝える必要があります。
自社でパフォーマンスを発揮してくれる人材を見極める
重要な3つのフィット
採用活動において、自社でパフォーマンスを発揮してくれる人材を見極めるために、3つのフィットが重要だと言われています。
1. ビジョンフィット 候補者が目指す方向性と、企業が目指す方向性が一致しているかどうかです。企業のビジョンに共感し、その実現に向けて働きたいと思える人材は、モチベーション高く働ける可能性があります。
2. カルチャーフィット 候補者の価値観や働き方が、企業の文化や風土に合っているかどうかです。企業ごとに、意思決定のスピード感、コミュニケーションの取り方、評価の基準などが異なります。これらが合わないと、入社後にストレスを感じたり、パフォーマンスが発揮できなかったりする可能性があります。
3. スキルフィット 候補者が持つスキルや経験が、企業が求めるポジションに適しているかどうかです。即戦力として活躍できるスキルを持っているか、あるいは、成長ポテンシャルがあり、将来的に期待する役割を担えるかといった観点で判断します。
これらの観点を、面接を通じてすり合わせていくのが採用プロセスです。しかし、最終的に内定・オファーを出した人材は、優秀であればあるほど、他社からもスカウトやオファーを受けている可能性が高いという現実があります。
複数のオファーを持つ候補者にどう選んでもらうか
優秀な候補者が複数のオファーを持っているということは、企業側は「選ばれる側」に立たされているということです。
候補者が比較検討する要素
- 給与・待遇
- 企業のビジョン
- 事業の成長性
- 働く環境
- 一緒に働くメンバー
- キャリアの成長機会
ここで重要になるのが、候補者に自社への入社を決断してもらうための最終段階でのコミュニケーションです。その手段の一つが「オファーレター」です。
オファーレターとは
基本的なオファーレターの役割
オファーレターは、最終面接の合格後に候補者へ提示する、オファー条件を記載した書類です。
オファーレターに記載される内容
- 報酬(基本給、賞与、インセンティブなど)
- 待遇(福利厚生、各種手当など)
- 勤務地
- 勤務時間
- その他の労働条件
- 回答期限(一般的には2週間以内)
このオファーレターは、労働条件を明示するという法的な役割を果たすと同時に、候補者に対する最後のアピールの機会でもあります。
プレゼンテーション型オファーレターという選択肢
通常のオファーレターとの違い
オファーレターには、単なる条件提示を超えた活用方法があります。それが「プレゼンテーション形式」のオファーレターです。
通常のオファーレター
- 給与、待遇、労働条件を淡々と記載
- 条件提示が主な目的
プレゼンテーション型オファーレター
- 条件提示に加えて、評価やメッセージを伝える資料を準備
- 候補者への期待や入社後のイメージを具体的に共有
- オファー面談を設定して直接説明
プレゼンテーション型オファーレターの構成要素
プレゼンテーション型オファーレターには、以下のような内容が含まれます。
1. 候補者への評価
- 選考プロセスで何を評価したのか
- 候補者のどんな経験・スキル・考え方に共感したのか
- なぜあなたと一緒に働きたいのか
2. 面接参加者からのコメント
- 面接に参加した事業メンバーからのメッセージ
- 経営陣からのコメント
- 各面接官が評価したポイント
3. 期待する役割
- あなたに期待していることは何か
- どんな場面で活躍してほしいか
- 将来的にどんな役割を担ってほしいか
4. 入社後の具体的なステップ
- 研修プログラムの内容
- 事業理解を深めるためのステップ
- 最初の3ヶ月でどんな業務に取り組んでもらうか
- どんなサポート体制があるか
5. 安心材料となる情報
- 各種福利厚生の詳細
- メンター制度
- 入社後の生活をサポートする情報
オファー面談の実施
これらをまとめた資料を用いて、30分〜60分程度のオファー面談を設定します。
オファー面談の流れ
- 責任者が直接説明を行う
- 候補者の質問に丁寧に答える
- 入社後のイメージを具体的に共有する
- 不安や疑問点を解消する
なぜプレゼンテーション型オファーレターが効果的なのか
効果的な理由
プレゼンテーション型オファーレターが効果的な理由はいくつかあります。
1. 評価の具体化による安心感 候補者に対する評価を具体的に伝えることで、候補者は「自分がどのように評価されているのか」「どんな期待を持たれているのか」を理解できます。これは、候補者にとって大きな安心材料になります。自分の強みが正確に理解され、それを活かせる環境があると感じられることは、入社意欲を高める重要な要素です。
2. チームからの歓迎による信頼感 面接に参加したメンバーからのコメントを集めることで、「この会社の人たちは、自分のことを真剣に考えてくれている」という信頼感が生まれます。候補者は、単なる採用枠を埋めるための人材ではなく、一緒に働く仲間として迎えられていると感じることができます。
3. 入社後イメージの明確化による不安軽減 入社後の具体的なステップを示すことで、入社後の不安を軽減できます。「入社して何をするのか」「どんなサポートが受けられるのか」が明確になることで、候補者は安心して意思決定できます。
実際の効果:ユーザベース社の事例
私自身、ユーザベース社の採用プロセスでプレゼンテーション型オファーレターを受け取った経験があります。
受け取った資料の内容
- 面接での評価ポイント
- 入社後の期待役割
- 研修プログラム
- 事業理解のためのステップ
- 面接参加者からのコメント
- 「あなたのこういう経験や考え方に共感した」というメッセージ
- 「こういう場面で活躍してほしい」という期待
この資料を受け取った時、非常に感動したことを覚えています。自分がどのように評価されているのか、どんな期待を持たれているのかが具体的に示され、それが内定受諾を決める大きな要素の一つになりました。
候補者の立場からすると、複数のオファーがある中で、条件面だけでなく、自分を具体的にどう評価し、どんな未来を描いているかを丁寧に説明してくれる企業には、強い信頼感と期待感を持つことができます。
採用活動における2つの軸を意識する
選考活動とアピール活動
あらためて整理すると、企業の採用活動には2つの軸があります。
1. 選考活動(候補者を見極める)
- 面接で質問を投げかける
- 候補者の経験やスキル、考え方を確認する
- 自社にフィットするかを判断する
2. アピール活動(会社や事業の魅力を伝える)
- 自社のビジョンを伝える
- 事業の魅力を説明する
- 働く環境や成長機会を紹介する
多くの企業は、選考活動に注力します。これは非常に重要なプロセスですが、それだけでは不十分です。
「人が企業を選ぶ時代」においては、アピール活動の重要性が高まっています。企業側も、候補者に対して、自社のビジョン、事業の魅力、働く環境、成長機会などを積極的に伝える必要があります。
オファーレターは、このアピール活動の最終段階における重要なツールです。条件を提示するだけでなく、候補者への評価や期待を丁寧に伝えることで、入社意欲を高めることができます。
実践へのステップ
まずは簡単な資料から始める
内定後の承諾率を高めるために、オファーレターの作成と運用を検討してみてください。
ステップ1:基本的な評価資料の作成 通常のオファーレターに加えて、候補者への評価やメッセージを伝える簡単な資料を作成することから始めてもよいでしょう。
最低限含めるべき内容:
- 面接での評価ポイント
- 入社後の期待役割
これだけでも、候補者にとっては有益な情報になります。
ステップ2:内容の充実化 余裕があれば、以下の内容を追加することを検討できます。
追加要素:
- 面接に参加したメンバーからのコメント
- 入社後の研修プログラムの詳細
- 事業理解のステップ
- サポート体制の説明
- 具体的な業務内容の例
ステップ3:オファー面談の実施 資料を作成したら、30分〜60分程度のオファー面談を設定します。
面談のポイント:
- 責任者が直接説明する
- 候補者の質問に丁寧に答える
- 入社後のイメージを具体的に共有する
- 不安や疑問点を解消する
重要なメッセージを伝える
重要なのは、候補者に対して、**「あなたを必要としている」「あなたと一緒に働きたい」**というメッセージを、具体的に伝えることです。
条件面だけでなく、候補者への評価や期待を丁寧に伝えることで、採用活動における差別化要素となる可能性があります。
採用が難しい環境だからこそ、最終段階での丁寧なコミュニケーションが、優秀な人材を獲得できるかどうかの分かれ目になると言われています。オファーレターの活用を通じて、候補者に自社を選んでもらえる確率を高めていきましょう。
まとめ:内定承諾率を高めるポイント
オファーレター活用の要点
- 通常のオファーレター(条件提示)だけでは不十分
- プレゼンテーション型で評価と期待を具体的に伝える
- 面接参加者からのコメントで歓迎の姿勢を示す
- 入社後のステップを明確にして不安を軽減する
- オファー面談で直接対話し、質問に答える
採用活動の2つの軸
- 選考活動:候補者を見極める
- アピール活動:会社の魅力を伝える
両方のバランスを取ることが、「人が企業を選ぶ時代」の採用成功の鍵です。
タレントグローススタジオを運営する、つなぐスタジオ株式会社では「ビジネス知の機会格差をなくす」というミッションに向けて、これからも実践的で価値ある情報を発信していきます。この記事の内容や、その他採用・人材に関して気になる点がありましたら、お気軽にご相談ください。

執筆者 : 佐久間 一己(さくま かずき)
つなぐスタジオ株式会社 代表取締役社長 / ローカル&タレントグローススタジオ Director
リクルート営業マネージャー、ユーザベースFORCAS(現Speeda)カスタマーサクセスマネージャー、スタートアップ役員、地方起業を経て、地方企業向けのマーケティング代理店と採用・キャリア支援事業を設立。人材紹介免許を取得。自身が地方からスタートアップへの転職を経験し、職種の理解や業界の知識を学んだ経験から、双方の立場がわかる存在としてキャリアの支援を行います。また、事業責任者・執行役員の立場で組織運営を行い、ブランドが乏しい中での採用活動の経験をもとに、地方企業・スタートアップ企業の採用支援に伴走します。


