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キャリア・転職コラムでは、転職活動やキャリアアップに向けた情報を共有し、後悔のないキャリア選択や可能性の発揮を支援します。
この記事は「転職エージェントの”リスト型”と”セレクト型”の違い」について、まとめています。書類通過率が15%と50%で3倍以上変わる理由、それぞれのメリット・デメリット、そしてあなたのキャリアステージに合わせた使い分け方を解説します。
転職活動で感じる、このモヤモヤ
転職活動を始めると、多くの人がこんな経験をします。
「エージェントに登録したら、マイページに20社以上の求人が並んでいる。どれに応募すればいいんだろう?」
「書類を10社に送ったのに、通過したのは1社だけ。自分のキャリアは市場で評価されていないのだろうか…」
「別のエージェントからは、『あなたにぴったりの2社があります』と言われた。でも本当にこの2社だけで大丈夫なのか不安だ」
これらのモヤモヤの正体は、実は転職エージェントの「型」の違いにあります。同じ「転職エージェント」という名前でも、裏側の仕組みやアプローチが全く異なるため、求職者の体験も大きく変わるのです。
まず理解しておきたい、転職サービスの全体像
転職エージェントの型を理解する前に、転職活動で使える主なサービスを整理しておきましょう。
転職活動で使われる代表的なサービスは、大きく4つに分類できます。
求人サイト(IndeedやGreenなど)は、自分で求人を検索して直接応募するタイプです。自分のペースで探せる反面、企業とのやり取りや条件交渉もすべて自分で行う必要があります。
スカウト型サイト(ビズリーチ、リクルートダイレクトスカウトなど)は、自分の経歴を登録しておくと企業やヘッドハンターからスカウトが届く仕組みです。自分では見つけられなかった企業との出会いがある一方、スカウトの質にはバラつきがあります。
SNS型サイト(Wantedly、YOUTRUSTなど)は、メッセージ機能などで企業の社員や人事と直接つながることができます。カジュアル面談から始められる気軽さがある反面、選考プロセスが不明確になりがちです。
そして転職エージェントは、実際にキャリアアドバイザーやエージェントと面談しながら、自分に合った企業を紹介してもらえるサービスです。キャリア相談、書類添削、面接対策、条件交渉まで、転職活動をトータルでサポートしてもらえます。
この記事では、この転職エージェントの中にある「リスト型」と「セレクト型」という2つのタイプについて詳しく解説していきます。
リスト型エージェントとは何か?
リスト型エージェント(別名:片面型エージェント)は、主に大手転職エージェントが採用している仕組みです。リクルートエージェント、doda(パーソルキャリア)、type、ワークポートなどが代表例です。
この型の最大の特徴は、求職者担当と企業担当が分かれていることです。あなたがキャリアアドバイザーと面談をすると、その情報が社内のデータベースに登録されます。すると、マイページ上に「あなたにおすすめの求人」として10社〜200社以上の求人リストが表示されます。
求職者は、このリストの中から自分で応募したい企業を選び、書類選考に進みます。企業側には別の担当者がついており、その担当者が企業の採用ニーズをヒアリングし、マッチしそうな候補者を社内データベースから探して推薦する流れです。
リスト型の仕組みは、大量の求人と大量の求職者を効率的にマッチングするために設計されています。キャリアアドバイザーは求職者のキャリアの方向性を理解し、企業担当は企業の採用要件を深く理解する。この分業体制により、多くの企業と多くの求職者を同時に扱うことができるのです。
セレクト型エージェントとは何か?
セレクト型エージェント(別名:両面型エージェント)は、主に中小規模の人材紹介会社やヘッドハンター、一部の大手エージェント(JACリクルートメントなど)が採用している仕組みです。
この型の最大の特徴は、一人のエージェントが求職者と企業の両方を担当することです。あなたと面談するエージェントは、同時にあなたにマッチしそうな企業の採用担当者とも直接やり取りをしています。
セレクト型では、エージェントがあなたの経歴や志向を深く理解したうえで、「この企業とこの企業が合いそうです」と2〜5社程度を厳選して提案してくれます。リスト型のように大量の求人から自分で選ぶのではなく、エージェントが企業側の採用背景や求める人物像まで把握したうえで、マッチ度の高い企業だけを紹介する形です。
この仕組みは、エージェント一人あたりが担当できる求職者数や企業数に限界があるため、大規模展開には向きませんが、その分、一人ひとりへの対応の質が高くなる傾向があります。
書類通過率は本当に3倍違うのか?実際のデータ
リスト型とセレクト型では、書類通過率に大きな違いがあると言われています。
一般的に、リスト型エージェントの書類通過率は15〜20%程度、セレクト型エージェントの書類通過率は50%前後と言われており、約3倍の差があるとされています。
実際に、私が35歳で地方からスタートアップへの転職活動を行った際の経験を紹介します。延べ60社に応募し、15社のエージェントを利用した転職活動で得られた結果です。
リスト型エージェント経由の書類通過率:17.5%(7社/40社)
内訳を見ると、リクルートエージェントが11.8%、dodaが25.0%、typeが25.0%、フォースタートアップスが27.3%、ワークポートが0%という結果でした。全体として、10社に応募すると1〜2社が書類通過するイメージです。
セレクト型エージェント経由の書類通過率:55.6%(10社/18社)
ビズリーチやリクルートダイレクトスカウトからスカウトを受けた小規模エージェント経由での応募では、書類通過率が50%を超えました。提案される企業数は少ないものの、2社に1社は書類が通過する計算です。
この一例からも、一般的に言われている傾向と近い結果が出ています。
では、この差はなぜ生まれるのでしょうか。
リスト型では、エージェント側が企業の詳細な採用背景や求める人物像を完全には把握していないケースがあります。「この条件に当てはまる人を推薦しておこう」という形で、ある程度機械的にマッチングされることもあるため、企業側から見ると「求めている人材とは少し違う」と判断されることが増えます。
一方、セレクト型では、エージェントが企業の採用担当者と深くコミュニケーションを取っているため、「今回の募集では、実はこういう経験がある人を求めている」といった表に出ていない情報まで把握しています。そのうえで候補者を厳選するため、企業側も「なるほど、この人は確かに合いそうだ」と判断しやすくなるのです。
面接合格率はどう変わるのか?
書類通過後の面接合格率についても、違いがあります。
リスト型の場合、書類通過率は低いものの、書類を通過した時点である程度スペックがマッチしていると判断されています。そのため、面接では「本当にうちの会社に合うか」「働く意欲はあるか」といった点が見られます。
セレクト型の場合、エージェントが事前に企業側に候補者の背景や強みを丁寧に伝えているケースが多く、面接では「どう一緒に働くか」という前向きな話になりやすい傾向があります。企業側も「エージェントが推薦するなら信頼できる」という前提で面接に臨むため、比較的スムーズに選考が進むことが多いようです。
ただし、面接合格率は業界や職種、個人のキャリアによって大きく変わるため、一概には言えません。重要なのは、書類通過の段階で企業とのマッチ度が高い状態を作れているかどうかです。
リスト型エージェントのメリットとデメリット
リスト型エージェントの最大のメリットは、多くの選択肢に触れられることです。
マイページに10社、20社、時には100社以上の求人が並ぶため、自分では知らなかった企業や業界に出会える可能性があります。「自分の経験は、こんな業界でも活かせるのか」と気づくきっかけになることもあります。また、多くの求人を見て比較することで、自分が本当に大事にしたい条件や、譲れないポイントが明確になっていきます。
もう一つのメリットは、転職活動の不安を行動で解消できることです。「果たして自分は転職できるのだろうか?」という不安があるとき、10社、20社と応募していくこと自体が、前に進んでいる実感を与えてくれます。
一方、デメリットもあります。
まず、書類選考の通過率が低いため、不合格が続くと自信を失いやすいという点です。10社応募して1社しか通過しないと、「自分のキャリアは評価されていないのでは」と感じてしまうかもしれません。しかし、それはあなたのキャリアの問題ではなく、仕組みとして通過率が低いだけだと理解しておく必要があります。
次に、自分でリストを精査する手間がかかる点です。大量の求人の中から、本当に自分に合う企業を見極めるには、企業のホームページを見たり、口コミを調べたり、かなりの時間と労力が必要になります。
さらに、企業の詳細な情報が得にくいという点もあります。キャリアアドバイザーは求職者側の専門家ですが、個別の企業の内情まで深く把握しているわけではありません。「この企業、実際の働き方はどうなんだろう?」と疑問に思っても、詳しい情報を得られないことがあります。
セレクト型エージェントのメリットとデメリット
セレクト型エージェントの最大のメリットは、マッチ度の高い企業に効率的に出会えることです。
エージェントが企業の採用背景や求める人物像を深く理解したうえで提案してくれるため、書類通過率が50%前後と高く、無駄な応募や不合格によるストレスが少なくなります。また、エージェントが企業との間に入って、あなたの経験や強みを企業に丁寧に伝えてくれるため、書類だけでは伝わりにくい部分まで評価してもらいやすくなります。
もう一つのメリットは、企業の詳細な情報を得られることです。エージェントが企業の採用担当者と直接やり取りしているため、「この企業は今、こういう課題を抱えていて、こういう人材を求めている」「社風はこんな感じで、実際に働いている人はこんなタイプが多い」といった、求人票には載っていない情報を教えてもらえます。
一方、デメリットもあります。
まず、提案される企業数が少ないため、選択肢の幅が狭く感じられることがあります。リスト型のように「とりあえずたくさん応募して可能性を広げたい」という人には物足りなく感じるかもしれません。
次に、エージェントの当たり外れがあるという点です。セレクト型では、一人のエージェントがあなたの転職活動の成否を大きく左右します。そのエージェントが優秀で、あなたのキャリアを深く理解してくれれば最高ですが、逆に相性が合わなかったり、担当する企業数が少なくて提案の幅が狭かったりすると、思うように進まないこともあります。
実際、スカウト型サイト(ビズリーチやリクルートダイレクトスカウト)からスカウトが来るエージェントの中には、質にバラつきがあります。スカウトを受けたエージェント14社のうち、実際に良いと感じて利用したのは7社、つまり約50%というデータもあります。
スカウト型サイトで気をつけたいこと
スカウト型サイト(ビズリーチやリクルートダイレクトスカウト)を利用する際、一つ重要なポイントがあります。それは、企業の人事から直接届くスカウトなのか、転職エージェントからのスカウトなのかを見極めることです。
企業からの直接スカウトの場合、企業の採用担当者があなたの経歴に興味を持ち、直接コンタクトを取ってきています。この場合、選考プロセスがスムーズに進みやすく、企業の生の声を聞けるメリットがあります。
一方、転職エージェントからのスカウトの場合、エージェントがあなたの経歴を見て「この企業を紹介できそうだ」と判断し、声をかけてきています。この場合、エージェントを介した選考になるため、エージェントの質や相性が転職活動に影響します。
どちらが良いかは、あなたの状況によります。
キャリアの軸が固まっていて、自分で判断できる人は、企業からの直接スカウトを優先して対応すると効率的です。企業と直接対話することで、選考スピードも早く、ミスマッチも減らせます。
転職の軸がまだ定まっていない人や、キャリア相談をしながら進めたい人は、エージェントからのスカウトにも積極的に対応し、まずはエージェントとの面談から始めるのが良いでしょう。エージェントとの会話を通じて、自分の強みや志向が明確になることもあります。
どう使い分けるべきか?結論は「両方試してみる」
ここまでリスト型とセレクト型の違いを説明してきましたが、結論としては「両方使ってみて、自分に合っているものを選ぶ」ことをおすすめします。
転職活動は、人それぞれのキャリアや状況、性格によって最適なアプローチが変わります。「リスト型が絶対に良い」「セレクト型しか使うべきでない」という正解はありません。
まず、リスト型とセレクト型の両方に登録してみて、実際に使ってみることが大切です。リスト型の大手エージェント(リクルートエージェントやdoda)に登録して多くの求人を見つつ、スカウト型サイト(ビズリーチやリクルートダイレクトスカウト)にも経歴を登録してセレクト型のエージェントからのスカウトも待つ。この並行利用により、「自分にはどちらが合っているか」が見えてきます。
使ってみて感じるのは、「たくさんの選択肢を見ることで安心できる」タイプなのか、「厳選された数社を深く検討したい」タイプなのか、という自分の性格や転職活動のスタイルです。
また、転職活動の段階によっても使い分けが変わります。転職活動を始めたばかりの頃は、リスト型で多くの求人を見て視野を広げ、方向性が固まってきたらセレクト型で質の高いマッチングを狙う、という流れも有効です。
大切なのは、「自分にとって納得のいく転職活動ができているか」という感覚です。不合格が続いて自信を失いそうなら、セレクト型にシフトして通過率を高める。逆に、選択肢が少なくて不安なら、リスト型も併用して可能性を広げる。柔軟に使い分けながら、自分のペースで進めていくことが重要です。
エージェントとの付き合い方で大切なこと
リスト型でもセレクト型でも、エージェントとの関係性が転職活動の質を左右します。
エージェントはあなたのキャリアのパートナーですが、同時にビジネスとして企業から紹介手数料を受け取る立場でもあります。この構造を理解したうえで、適切な距離感を保つことが大切です。
あなたのキャリアや志向を深く聞いてくれるエージェント、企業の情報を具体的に教えてくれるエージェント、無理に応募を勧めてこないエージェントは、信頼できる可能性が高いでしょう。逆に、一方的に求人を紹介してくるだけのエージェントや、「とにかく応募してください」と急かすエージェントには注意が必要です。
また、レスポンスの早さやフォローの丁寧さも、エージェントの質を見極めるポイントになります。面接前に企業の情報を共有してくれたり、面接後にフィードバックをくれたりと、こまめにコミュニケーションを取ってくれるエージェントは、あなたの転職を本気でサポートしてくれている証拠です。
セレクト型の場合は特に、エージェント個人の質が大きく影響するため、最初の面談で「この人と一緒に転職活動を進めたい」と思えるかどうかを大切にしてください。もし相性が合わないと感じたら、無理に付き合わず、別のエージェントを探す方が結果的に良い転職につながります。
タレントグローススタジオは、どちらの型なのか?
タレントグローススタジオは、セレクト型(両面型)のエージェントです。
私たちは、求職者のキャリアと企業の採用背景の両方を深く理解したうえで、マッチ度の高い提案を行います。特に、地方企業とスタートアップ、スタートアップと地方人材という、異なるビジネス文化をつなぐ役割を担っているため、単なるスペックマッチングではなく、「この人のキャリアを、この企業ではどう表現すれば伝わるか」という翻訳作業を大切にしています。
また、企業側には事業戦略から採用計画を相談していただけるため、企業が本当に求めている人物像や、入社後にどんな活躍を期待しているかまで深く理解したうえで、候補者を紹介しています。
転職は、人生で数回しかない大きな意思決定です。私たちは、その納得感を生み出すために、一人ひとりのキャリアに向き合い、企業との間で言葉を翻訳し、想いが伝わる転職活動を支援します。
タレントグローススタジオを運営する、つなぐスタジオ株式会社では「ビジネス知の機会格差をなくす」というミッションに向けて、これからも実践的で価値ある情報を発信していきます。この記事の内容や、その他キャリア・転職に関して気になる点がありましたら、お気軽にご連絡ください。

執筆者 : 佐久間 一己(さくま かずき)
つなぐスタジオ株式会社 代表取締役社長 / ローカル&タレントグローススタジオ Director
リクルート営業マネージャー、ユーザベースFORCAS(現Speeda)カスタマーサクセスマネージャー、スタートアップ役員、地方起業を経て、地方企業向けのマーケティング代理店と採用・キャリア支援事業を設立。人材紹介免許を取得。自身が地方からスタートアップへの転職を経験し、職種の理解や業界の知識を学んだ経験から、双方の立場がわかる存在としてキャリアの支援を行います。また、事業責任者・執行役員の立場で組織運営を行い、ブランドが乏しい中での採用活動の経験をもとに、地方企業・スタートアップ企業の採用支援に伴走します。

